冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~

歓迎はされていないものの、赤ちゃんが和泉の子だとはっきりしたおかげで、気持ちは楽になっていた。

奈月は妊娠十八週を迎えていた。これまで妊婦らしさが見られなかった体にも、段々変化が起き始めている。

下腹部が膨らみ、階段の上り下りで息切れがする。食欲が増えていた。

幸い検診の結果は良好で、特に心配することはないという実に順調な経過だった。


そんなある日の午後。奈月は自室のソファーに座り、熱心にスマートフォンの画面を眺めていた。

マタニティライフのあらゆる情報が集まっているサイトでいろいろと研究しているのだ。

今確認しているのは、出産準備と、赤ちゃんに必要なもの。

合わせるとかなりの量になる。手持ちでは代用出来ないものばかりなので、そろそろ揃えないといけない。

体調が比較的良好な今のうちに買い物に行きたい。インターネットで注文出来るけれど奈月は実物を見たいタイプだ。

(でも和泉には相談し辛い。黙って買って来ていいのかな……)

赤ちゃんの父親が和泉だとはっきりしてからも、和泉との関係に大きな変化はなかった。

彼が奈月の部屋を訪れることはないし、生活時間もわざ避けているのかと疑う程すれ違う。

自分の子だから妊娠の経過について気にするようになるかなと思っていたけれど、実際はそんなことはなく、もう何日も和泉から声をかけられていない。

相変らずの孤独な生活。

(でも……外泊はなくなったみたい)
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