冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
やけに早口になってしまった。和泉が迷っているのに気付き更に加える。

「大丈夫なら私の部屋に来て貰っていいですか?」

プライベートな空間に奈月が入るのを嫌がるだろうと彼の部屋ではなく自分の部屋で話そうとした。けれど彼はドアを大きく開き、奈月を室内に入るよう促した。

(いいのかな?)

ドキドキしながら部屋に入る。彼の部屋に入るのは初めてだ。

不躾にならない程度に辺りを見回す。奈月の部屋と同じ広さ造りで、実用的な家具が揃えられていた。目を引くのは大きな机と、壁面の本棚だった。

(ここでも仕事をしてるのかな?)

和泉の部屋のソファーは一人がけだった。彼は奈月にそこに座るように言うと、自分は机に収まっていた背もたれ付きの椅子に腰を下ろした。

「何か有ったのか?」

和泉は奈月を見つめながら問いかけて来た。

怒っても迷惑がってもいないように見える。かといって歓迎している気配はない。

奈月は心を落ち着かせながら切り出した。

「あの、そろそろ出産準備に必要なものを揃えたくて……私が選んで買って来てもいいですか? それからベビーベッドは私の部屋に置いて大丈夫ですか?」
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