冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
「それじゃあ大物はお願いして、細々したものは私が買って来てもいいですか?」

「それでは意味がないだろ? 妊婦が長時間の買い物をするのは良くないんじゃないか?」

即答で拒否された。

「でも、自分で見て選びたいものも有って」

「それなら連れて行く」

「え……」

(連れて行く? 和泉が一緒に行くってこと?)

奈月は思わず瞬きをした。まさかそんな申し出をされるとは。

「いつ行く予定だ?」

「あの……次の検診が来週にあるからその帰りに」

「分かった。スケジュールを調整するから時間を知らせてくれ」

「……はい」

淡々と話が纏まったので、奈月は和泉の部屋を出た。

ぼんやりとしたまま自分の部屋に戻る。

(和泉と一緒に買い物?)

彼は平然と言っていたけれど、奈月としては信じられない状況だ。

まさか彼とふたりで出かけることになるなんて。

(大丈夫なのかな……)

気まずくて買い物どころではなくなりそうな不安がある。

でも先ほどの和泉の態度は今思うと冷たさがほとんどなかった。笑顔はなくても拒絶の壁のようなものなくなっていた。

(少し態度が柔らかくなってる?)

和泉との関係が変化している。そんな期待をどうしても消すことが出来なかった。
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