冷徹旦那様との懐妊事情～御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない～
（誰と話しているのかな？）

なんとなくだけど仕事ではない気がする。

（もしかして……彼女かな？）

最近は外泊しなくなったし、休日の外出も減り別れたように見えたけれど、実際は違ったのだろうか。

しかし誰が相手だとしても会話を聞いてはいけない気がして、車から少し距離を置いてぼんやりと立ち尽くしていた。

するとそう時間を置かずに和泉が奈月に気付き、それまで浮かべていた笑みを消し通話を終えた。

彼が奈月を呼ぶ仕草をしたので、車に近付きドアを開けた。途端に和泉に問い質される。

「あんなところで突っ立って、何をしていたんだ？」

「え……あの、和泉が電話中だったから邪魔したら悪いと思って」

彼は面倒そうに溜息を吐いた。

「気を遣ってくれたのかもしれないが場所を考えろ。他の車の迷惑になるだろ？」

「あ、そうだよね。ごめんなさい」

今の奈月は何をしても和泉を苛立たせてしまうようだ。

小さくなりながら助手席に乗りシートベルトをする。

「買い物はどこでするんだ？」

「……あの、新しく出来たショッピングセンターに行きたいと思って」

ショッピングセンターの名称を伝えると、和泉はナビに入力し車を発進させた。

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