冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
哺乳瓶など実用的な小物は和泉の希望がない場合は口コミの評価が高かったメーカーのものを買うと決めていたので、すぐに選び終えた。

迷ったのはベビー服だ。種類が豊富な上にどれも可愛いので目移りしてしまう。

「これ可愛いな……あ、でもこっちもいいかも」

決めかねて同じところを何度も行ったり来たりしていると、それまで黙っていた和泉がしびれを切らしたように言った。

「気になったものは全て買えばいい」

「でも、そんなに沢山要らないし」

奈月としてはこうやってどれにしようかと悩むのは苦痛ではなく、楽しいと感じていた。

けれど和泉にとっては無駄な時間で苦痛を覚えているのかもしれないと気がついた。

「ごめんなさいのろのろして。直ぐに決めるから」

ある程度絞っていた候補をもう一度しっかり見ていると、和泉が展示されていたベビー服のひとつを手に取った。

「急かしている訳じゃない。欲しいのなら遠慮しないで買えばいいと思っただけだ」

彼はそう言いながら自分が選んだ紺地に白の刺繍が入ったベビー服を眺めていた。

「……それが気に入ったの?」

上品で落ち着いた雰囲気のデザイン、和泉が好きそうなものだと思った。
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