冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
彼は答える代わりに、奈月を見つめた。

「子供の性別は分かっているのか?」

予想していなかった質問だった。

「いえ、聞いていません」

和泉は眉をひそめた。

「判明してから買った方がいいんじゃないのか? いつ分るんだ?」

「生まれるまで分からないの」

奈月の通う病院では希望者にしか赤ちゃんの性別を知らさない。そして奈月は希望しなかった。

「今は胎児の時点で性別が判明するんじゃないのか?」

「そうだけど私は希望していないから。性別はどちらでもいいと思ってるし、服は男の子と女の子、どちらが着てもいいようなものを買えばいいから」

和泉は複雑そうな顔で奈月の話を聞いている。

「もしかして性別を知っておきたかった? それなら次の診察の時に聞いてみますけど」

「いや、いい。好きにしろ」

和泉は呆れたように言うと、紺地のベビー服をカートに入れた。

その後、時間をかけてこれだというものを選び終えた。和泉は奈月の選択に注文をつけるようなことはしなかったけれど、自らが選んだものをいくつかカートに入れていた。

会計は彼が全て支払ってくれた。

「ありがとうございます」

「他に必要なものは?」
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