冷徹旦那様との懐妊事情～御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない～

和倉家

和倉豊は和倉家の次男として生まれた。優秀な兄が居た為、家も会社も継ぐ予定はなく気楽な生活を続け大人になった。

一見のびのびと育った彼だが、実は心の中に強い劣等感を抱えていた。

周りの期待を一身に受け、それ以上の結果で応え褒められる兄が目障りで仕方なかったのだ。

幼い頃はその感情をそのまま表に出していた。その度大人にたしなめられたり、慰められていたけれど、成長するに従い本心を出さなくなっていった。その発言が自分の立場を悪くすると分かり始めたからだ。

表向きは兄には関心なく自由に生きる次男を演じ、心の中では強い嫉妬心を持ち続けていた。

兄は学生時代に出会った同年代の女性と結婚をした。地味な上に一般家庭の出身である女性を選んだ兄の気持ちを少しも理解出来なかった。

もっと良い条件の女性などいくらでもいたのに、なぜあの女なんだ。そんな風に呆れながらも、兄の結婚に嫉妬せずに済みほっとしていた。

それから二年後。豊は高級クラブで知り合った忍と結婚した。
忍は出自は良くなかったものの、若く人目を引く美人だった。兄よりも幸せな結婚をしたと、豊の自尊心は満たされた。小さな会社を興し娘の愛理も産まれ幸せな日々を送っていたが、ある日再び豊かの心を乱す事件が起きた。