冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
ままならない日々
十二月に入り、妊娠二十週を迎えた。
お腹が膨らみ傍から見ても妊婦だと分かるようになっていた。ときどきだけど胎動を感じ、命が育っていることを更に実感する。
司波家での暮らしに特に変化はない。
検査で和泉の子だと判明したあとも義父と亜貴との関係は気まずいままだ。
和泉との関係は司波家に来た当初に比べれば少しだけよくなっていた。
ただ今は和泉が海外出張中で物理的に距離が空いている。
彼は数ヶ月に一度、長期出張で家を空ける。それは付き合っている時からなので、奈月を避ける為に意図的に仕事を入れているという訳ではないはずだ。
自室で出産に必要なものの再確認をしていた奈月は、作業を止めスマートフォンを手に取りスケジュールアプリを開いた。
(病院は三日後。和泉はそれまでに帰って来るのかな?)
驚くことに彼から出来るだけ病院に付きそいたいと申し入れが有ったのだ。彼にどんな心境の変化があったのかは分からないけれど、無関心でいるのは止めたようだ。
(一応日付は伝えてあるけど、念のため聞いた方がいいのかな?)
海外出張中でもメッセージのやり取りは可能だ。ただ奈月と和泉の場合、普段から余計な通信をしていない。取り決めをした訳ではないが余程の緊急事態でない限りお互い連絡を取らないようになっている。
だから躊躇ってしまう。
(妊婦検診って緊急事態に該当するのかな)
しばらく迷ってから、奈月は勇気を出してメッセージを送信した。