冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
上客の司波家の依頼で、昼食と言っても仕事のようなものだから。

予想通り友也は簡単な事情を聞いただけで即了承し、和泉に挨拶をした上で奈月を店から送り出した。


広川堂と同じ通り沿いにある高級和食店。

奥の座敷に通され席についた。

長机の奥側に和泉とウイリアムズが並んで座り、奈月は和泉の正面の席に着いている。

机に並ぶのは色鮮やかな松花堂弁当。

食事をしつつ彼らの質問に答える役目だと思っていたのだが、実際は殆ど世間話でなかなか和食器の話にならない。

和泉が最近はまっている紅茶の話や、ウイリアムズの妻の話で奈月は非常に戸惑っていた。

「僕の奥さんは日本人なんですよ」

プライベートな話題となり戸惑うが、ニコニコと語られては相槌を打つしかない。

「そうなんですか。あ、では広川堂でのお買い物は奥様へのお土産ですか?」

「いやこれは僕の趣味です。妻はこういうものに興味がないんです。バッグとかアクセサリーばっかり欲しがっていて。それも同じようなものを沢山ね」

苦笑いをしながら言うウイリアムズに、奈月は一般論で応える。

「多くの女性はアクセサリーが好きですから」
< 15 / 226 >

この作品をシェア

pagetop