冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
後悔
司波和泉は順風満帆の人生を送って来た。

努力をすれば希望通りの進路に進めたし、仕事でも結果を残せている。

厳格な父と生真面目でしっかりものの姉をときどき窮屈に感じるときは有ったが、友人や同僚にも恵まれ、充実した日々。

ただ恋愛面だけは人並み以下だと自覚していた。

和泉に好意を持ち、告白をしてくる女性は何人もいたが、強い恋愛感情を持てる相手に巡り合えなかった。

好みのタイプと適当に付き合う気にもなれない。自分は理想が高すぎるのだろうか。

そんな風に考えていた頃に、和倉奈月との出会いが訪れた。

特別に美人でも一目置く程の才気に溢れている訳ではない。ただ楽しそうに一生懸命傍楽姿を好ましく思った。

耳に心地良い涼やかな声、優しい笑顔。彼女の仕草ひとつひとつが全て和泉の感性に一致し、彼女を見かけたときは自然と目で追うようになっていた。

ある日、偶然桜並木を眺めながら幸せそうに微笑んでいる彼女を見かけたとき、恋心を自覚した。

それからの和泉は行動的だった。

仕事にかこつけ奈月に近付き、アプローチをした。

彼女はひどく驚いていたし、初めは和泉の好意を疑っていたけれど何度か会ううちに信用し、気持ちを返してくれるようになった。

恋人になってからはますます彼女への愛情が増していった。
< 169 / 226 >

この作品をシェア

pagetop