冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
「ふーん。和泉がそう思うのなら仕方がないけど。でもいつまでも暗い顔をされたらこっちまで憂鬱になる訳だし、早くなんとかしろよ」

和泉は迷いなく頷いた。

その気持ちは大いにあるのだから。


しかし帰国後気持ちを新に奈月に接したつもりだが、関係改善には至らなかった。

検診と買い物にも付き添ったが、奈月は和泉に心を開く様子はない。

実家のことで悩んでいる様子だったから声をかけたが、和泉に相談する気はないようであっさり何でもないとあしらわれた。

広川堂に行くと聞いたので付き添うと申し出たらやんわりと断れた。


そしてクリスマスディナー当日。

和泉に必要以上に慣れなれしい和倉愛理に気付いているはずなのに平然としており、他の客のもとに行き話し込んでしまう。

まるで和泉になど関心も興味もないとでも言うように。

さすがに落ち込んでいた。いくら和泉がやり直したいと願っても奈月にその気がなければ上手く行く訳がない。

だから気持ちが歪んでしまっていたのだと思う。

「あの……愛理との話の邪魔をしてごめんね」

「いや、むしろ助かった。亜貴に言われたんだろ?」
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