冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
亜貴と話すまで和泉に見向きもしなかったのだから、そうとしか思えない。

「それもあるけど、私もあの状況が気になっていたから」

「気になる? お前は俺が何をしていようが興味がないんじゃないのか?」

我ながら卑屈な発言だと思う。せっかく奈月が歩みよりを見せているのに素直に受け入れられない。

頑なな和泉に奈月も困った顔をしている。このままではまずいと思ったそのとき奈月が驚いたように声を上げた。

「どうした?」

奈月は膨らんだ腹部をじっと見おろしていた。

「今、お腹を蹴られたの。ぽこんってかなり強く」

「蹴られたって……子供にか?」

奈月の腹部はかなり大きくなっている。その分子供も成長しているはずだが和泉には実感出来ていなかった。しかし奈月は優しく微笑む。

「そう。元気に育っている証拠だよ。こうやって赤ちゃんが動いているのが分ると安心するの」

「……そうか」
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