冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
奈月がほのかな憧れを抱いていたとき、彼は化粧に不慣れなあか抜けない女だと認識していたなんて。

「はあ……」

がっかりして大きなため息が漏れてしまう。

「そ、そんなに落ち込まなくても。初心者にはよくある失敗なんだし」

深雪に励まして貰ったが、なかなか立ち直れそうになかった。



それでも仕事はしっかりこなし午後八時に仕事を終えた。

帰り支度をしていると、深雪が声をかけてくる。

「友也さんたちと飲みに行くことになったんだけど、奈月は厳しいかな?」

「あ……はい。ごめんなさい誘ってくれたのに」

気まずさを覚え眉を下げる。

「いいって。奈月の家が厳しいのは知ってるから。また今度行こう、前もって誘うから」

「はい。ありがとうございます」

楽しそうに出かけて行く同僚のグループを見送ってから、奈月はひとりで駅に向かった。

(みんなが羨ましいな、一緒に行きたかった)

職場のみんなと過ごすのはとても楽しい。

ただ、仕事帰りその日の気分でふらっと出かけられない事情が奈月にはある。
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