冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
想いを伝える
年が明け二月上旬。
妊娠三十週を過ぎ、奈月のお腹はすっかり大きくなっていた。
大したことをしていなくても眠気と怠さがあり、階段の上るだけで息切れがする。
検診頻度も増えて来ており、いよいよ出産に向けてカウントダウンが始まっているような気持ちになっていた。
クリスマスの夜に和泉と言い合いになり翌日顔を合わせるのに不安があったが、和泉は前日の出来事など無かったように平然としていて、言葉でも蒸し返すような真似はしなかった。
奈月に対して怒っている様子はなく、むしろ気遣いが増していた。
年末年始で仕事が忙しいはずなのに、家にいる時間が長くなっていた。
義父とは以前と変わらずつかず離れずで、一番変化があったのは亜貴との関係だった。
それまで一定の距離を置いていた亜貴が、何かと奈月を構って来るようになったのだ。お茶にしようと声をかけてくれるときもある。
口調はなかなかきつい。でも遠慮がないのは心を開いてくれている証のようで嬉しかった。
亜貴と親しくなってから司波家での暮らしで感じていた身の置き所のなさや、孤独が薄れていた。