冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~

今から一カ月前の二月末日。

奈月と和泉は婚姻届を提出し正式に夫婦となった。

しかしそれを知った叔父一家が司波家に乗り込んで来て、和泉と亜貴の前でヒステリーを起こしたのだ。

奈月を罵倒するのに夢中で、周囲に気が向いていなかったようだった。

病的なまでの怒りに恐怖を感じたけれど、和泉が奈月を叔父一家から遠ざけた。

それ以降叔父一家が奈月に連絡して来ることはない。恐らく和泉が手を回して止めているのだ。

それまでの和泉は和倉家に対して温和な対応をしていた。けれどいつからかまるで別人のように冷たく接するようになっていた。

どうしたのか聞いてみても、何でもないから気にするなと優しく微笑まれる。

奈月にはとにかく優しいから、そのギャップに戸惑っていた。

「和泉が叔父様たちに何をしたのか、亜貴さんは知ってますか?」

「うーん。奈月は聞いてないの?」

「はい。聞いても教えてもらえなくて」

「だったら私から言う訳にはいかないけど。大変みたいよ和倉百貨店。あの人が社長になってから業績悪化が著しいみたいだしこのままだと地位を失うかもね。経済的にも厳しくなるんじゃないかしら」
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