冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
「はるかです」
男子だったら遥。女子だったら春花。結果女の子だったので司波春花と命名した。
「いい名前ね」
深雪はベビーベッドから離れ奈月のベッドに近付いて来た。
「あ、そこに座って下さい」
「ありがとう」
深雪は奈月が示した椅子に座ると改めてぐるりと病室を見回した。
「それにしても凄い部屋ね。もしかして向こうにも部屋があるの?」
「そうなんです。ソファーとテーブルがあって仕事も出来るようになってるんですよ」
「なるほど。和泉さまが選んで部屋なのね」
「はい」
奈月が過ごしている部屋はまるでホテルのような豪華さだった。
上品な内装。ゆとりのあるバストイレ完備。広川堂のスタッフルームにあったような給湯室まである。
自宅と変わりないように家電は全て揃っているし、ベッドの寝心地も最高だ。
人が大勢集まっても余裕のある広さ。和泉は毎日出来るだけ時間を作り様子を見に来てくれて、仕事が立て込んでいるときは奥の応接室で作業をする時もある。
「友也も奈月の赤ちゃんを見たいって言ってたけど、今回は遠慮するって。落ち着いたら顔を見せに来てって言ってたわ」
「はい、もちろん。社長にもお礼を言いたいし伺います」
それから和やかに近況報告をしていると、病室の扉が開き和泉がやって来た。
「和泉さま」
深雪が緊張したように顔を強張らせ立ち上がる。