冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
そしてふたりとは離れた一人がけのソファーに座るのが和倉愛理。豊と忍の娘で奈月とは従妹の関係になる。

年齢は奈月の一つ年下の二十二歳。両親から溺愛されて育ったからか我儘な性格で度々無理を言って奈月を困らせる。
今は学生だが新年度からは和倉百貨店で働く予定になっているそうだ。もちろんコネで入社後も優遇されるのは確実だろう。

奈月が祖父母の家で暮らし始めて直ぐに、彼らも越して来て同居するようになり、今に至っている。

しかし奈月と叔父夫婦の関係は初めからあまり良いものではなかった。

彼らは奈月を目の上のたんこぶとでも思っているのか、祖父母の目がないところでは邪険に扱った。

祖父母が亡くなってからはその傾向が顕著になった。家をリフォームした際奈月の部屋を屋敷の端に遠ざけたのだ。まだ子供だった奈月には不満でも口に出す勇気はなかったし、誰かに相談するなど行動にも出られなかった。黙って日に日に悪くなっていく待遇を受け入れるしかなかった。

ただ口には出さないけれど、叔父家族と自分は他人なんだと思うようになっていった。
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