冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
彼らには何も期待してはいけない。出来るだけ関わらないようにした方がいい。
そういう心構えで距離を置き生活して来た。

しかし彼らは奈月を邪険に扱いながらも完全に放っておいてはくれなかった。

毎晩リビングに顔を出し挨拶をするのを強要する。

言う事を聞かないと途端に不機嫌になり結果面倒事が起きるのをこれまでの経験で知っている為、奈月は今のところは言いつけに従っている。

叔父が不機嫌そうな声を出した。

「何か変わったことは?」

「ありません。いつも通りに仕事をして先ほど帰宅したところです」

誰も奈月に座るように勧めない。コーヒーを飲む?と聞く者もいない。

業務報告のようなこんな交流に一体何の意味があるのだろうと初めは不可解だった。

けれどある日、叔父家族が話しているのを聞いてしまった。

彼らは奈月に幸せな自分たち家族の姿を見せつけたいと言っていた。祖父母が亡くなり一人きりになった奈月が孤独を思い知るようにと。

なぜそんな嫌がらせをするのか分からない。

けれど初対面のときから嫌われていたのだから、奈月の態度に問題があるのではなく、他に理由が何かあるのだろう。
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