冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
バイト時代から少しずつ貯金は続けており、ある程度まとまった金額になって来ているから引っ越し費用などはなんとかなる。

ただ、叔父と叔母が世間体をひどく気にして奈月が家を出るのを許さない。

『和倉家の娘が狭いアパートで一人暮らしをしているなんて、誰かに知られたらどうするの?』

家の恥になるような行動は許さないと、叔母にきつく申し渡された。だけど一人暮らしの何が恥になるのだろう。

どんな家に住んでいようが真面目に生活していればなんの問題もないはずなのに。

許可が出ないのなら黙って和倉家の出てしまえばいいのだろうが、未だにその勇気を持てないでいた。

奈月がいなくなったらと、彼らが怒って何かするんじゃないかと不安があるからだ。

叔母はヒステリーを起こすだろうし、叔父は職場の広川堂にまで来て迷惑をかけるかもしれない。

心は休まらないまま、変らない日々が続いていた。

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