冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
「気にしないで。それから誤解を解かせて欲しい」

「誤解、ですか?」

「そう。奈月さんを誘ったのは和倉家とは関係ないんだ。共通の話題になればいいとは思ったけどね」

「では広川堂の商品の件ですか?」

「それも違う」

奈月は目を瞬いた。

「あの、ではどうして……」

「理由をつけてデートに誘いたかった。でも君にとって俺は初対面のようなものだろう? 仕事抜きで付き合って欲しいと言っても断られるかと思ったんだ」

「……え、デート?」

和泉の発言に、奈月は唖然として彼の言葉をオウム返しに呟いた。

(もしかしてって思ったのは勘違いじゃなかったの?)

「そう、デート。何か用があるんじゃなくて、ただ奈月さんと過ごしたかった」

「ど、どうして?」

奈月と過ごして彼が楽しくなるとは思えない。

困惑する奈月を見て和泉は困ったように眉を下げた。精悍な彼がそんな表情をするのは意外だった。

和泉はまるで緊張を紛らわすかのように小さく息を穿く。それから奈月を真っすぐ見つめた。

「俺は奈月さんが好きなんだ。初めて見たときから君のことが頭から離れない。一目惚れになるんだと思う」

「一目惚れって、私にですか?」
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