冷徹旦那様との懐妊事情～御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない～

思わず高い声が出た。こんな洗練された男性がなぜ平凡な奈月に一目惚れをするなんて信じられない。

「初めてお会いしたのは先月ウイリアムさまといらしゃった時ですよね？　あの日の私は、好意を持って貰えるような姿をしていませんでした」

忘れもしない、酷い厚塗りメイク。彼と別れた後に鏡を見た瞬間のショックを今でもまだ覚えている。

「頬だって子供みたいにピンクになってたし……」

ついそう零すと、和泉はしっかり覚えていたたようだ。「ああ、あのメイク」と思い出し笑いをした。

「わ、笑わないで下さい」

「ごめん。でも馬鹿にしている訳じゃないよ、可愛かったなと思い出していたんだ」

「嘘！　あれが可愛いわけないのに」

顔を赤くして反論する奈月を見て和泉は機嫌良さそうに目を細めた。

「俺にはどんな君だって可愛く見えるんだよ。でも初めて会ったのはあの日じゃないんだ」

「え？　そんなはずは……」

「初めて見たのは二年くらい前だったかな。君は客から難しい質問をされたようで、困っている様に見えた」