冷徹旦那様との懐妊事情～御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない～
二年前はまだ大学生で広川堂の仕事もバイトだった頃だ。
今ほどの知識はなく突っ込んだ質問をされると答えられなくて深雪に助けを求めていた。そんなところを彼に見られていたというのだろうか。

「でも、それで好きになるのは変じゃないですか？　むしろ頼りなく感じてマイナスイメージだと思うんですけど」

「困りながらも一生懸命対応しているところに好感を持った。広川堂を訪れた時は奈月さんの姿を探すようになっていた。毎回会える訳じゃなかったけどね」

「バイトの頃はシフト勤務でしたから。でも和泉さまが何度も来店されていたのは知りませんでした」

少し驚きながら奈月は答える。まさか自分が誰かに注目されていたなんて。

「ときどき父につきあって来ていただけだからね、広川社長が対応してくれていたし奈月さんと直接関わる機会はなかった。君は仕事中で俺の視線に全然気づかなかった。熱心に働いているところを邪魔はしたく無かったから声をかけなかったんだ」

和泉は一旦言葉を切り、何かを思い出すように目を細めた。
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