冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
「だけど去年の春先に奈月さんが広川堂近くの桜並木の側で休憩してるところを偶然見かけた。美しい花を眺めて幸せそうに微笑んでいたな。優しそうな君の表情から目が離せなかったよ。それで自覚した。俺は君をすごく好きなんだって。元々好ましく感じていたけど完全に堕ちた瞬間だった」

「堕ちた……そんな……」

「本当だよ。その後に仕事で海外に長期滞在していたんだけど、離れていても君を忘れた日は無かったんだから」

男性に面と向かって好意を伝えられるなんて初めてだ。恥ずかしさのあまりどうすればいいのか分からなくなる。

落ち着きなく視線を彷徨わせる奈月に、和泉はもう一度はっきりと告げた。

「俺は君が好きだよ」

迷いない彼の言葉に、奈月の心臓はドクドクと鼓動を打つ。

「で、でも和泉さまは私の人柄とかそういったところは殆ど知らないですよね。まともにお話するのはこれで二度目ですし」

彼が奈月の何を気に入ったのか具体的に聞いた今でもピンと来ない。接点が少ない相手に恋をするなんてあるのだろうか。

奈月の指摘に和泉が怯んだ様子はなかった。
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