冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
「俺は本気だよ。言葉で信じられないのなら行動で示していく。振り向いて貰えるまで諦めないよ」

熱の籠った眼差しを向けられ、奈月の頬は恐らく真っ赤になっている。

しっかり考えないといけないのに、頭の芯から茹だったように思考が働かない。

何も言えないでいるとうちに、和泉が選んだコース料理が運ばれて来た。

(でも胸がいっぱいで空腹感なんてどこかに行ってしまった)

目の前の上品で洗練された物腰の男性が奈月をずっと想ってくれていたなんて。
熱烈な告白をしてくれたなんて。

(行動で示していくって言ってたから、これからも会う機会があるんだよね?)

彼が広川堂に来てくれるのだろうか。

(私どんな態度を取ればいいの?)

胸が高鳴って息が苦しいくらい。目が合えば泣きたいくらい恥ずかしいし、頭の中が彼のことでいっぱいになる。

そんな風に混乱する奈月を和泉は紳士的に接し、食事後には広川堂に送り届けてくれた。

「また来るよ」

少し掠れたような低い声が耳をくすぐる。

「待っています」

そう答えそうになり、奈月は慌てて口を閉ざし頭を下げて和泉を見送った。



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