冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」
東北からの旅行中に立ち寄ったという老夫婦が、満足そうに店を出るのを見送った奈月は、口元に小さな笑みを浮かべながら扉を閉めた。
自分が薦めた商品を買い喜んで貰えるのはとても嬉しい。
もっと頑張ろうという前向きな気持ちになり、やる気に溢れて店内を見回した。
しかしちょうど開店からの賑わいがひと段落をしたところで、店内はガランとしていた。
(在庫の確認をして来ようかな)
同僚に一声かけてから店の奥に足を向けた。販売用の商品が並ぶ一画の先には、ギャラリーがあり取引をしている作家の新作を展示している。
テーマを設け複数の作家の商品を並べる場合もある。お客様が展示品を見て気に入れば大量注文に繋がる場合もある為、商品の魅力を引き立てる展示をするのは大事な仕事だ。
三日前に同僚たちと設置した展示品を眺めながら更に奥の倉庫に向かい、集中して在庫確認をはじめた。