冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
「え……誘っておいて聞くのもどうかと思うだけど、家の方は大丈夫なの?」

「はい。私もたまには深雪さんたちと出かけたいので」

「そう。分かった、行こう! ぱあっと飲んで愚痴を言ったら気分もすっきりするかもしれないしね」

深雪は頼もしく笑うと、早く着替えろと奈月を急かす。

奈月は急いで着替えをし、深雪の後について夜の繁華街へ向かった。


叔父たちの了承を得ずに思いつきで遊びに行くなんて、これまでの奈月には考えられない行動だ。

和泉との別れで投げやりになっているからだろうか。帰宅後に叱責されると分かっていても、不安を感じていない。

もう何かもどうでもいいといった感じだ。

ぐいっとジョッキに入ったビールを流し込む。

「奈月、飲み過ぎは駄目よ」

「はい、でも飲みたい気分で」

呆れた様子の深雪に言われ一旦ジョッキを置く。

すると友也が首を傾げながら言った。

「奈月ちゃんがそこまで荒れるなんて初めて見た。何か有ったの?」

友也は深雪と同年代の先輩だが社長の息子なので特別な立場だ。奈月は気を遣ってあまり馴れ馴れしくしないようにしているが、本人はかなり気さくな性格をしている。
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