冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
「最近の奈月、熱心に取り組んでたもんね。勉強もしているみたいだし」

奈月は笑みを浮かべた。努力を認めて貰えるのは嬉しい。

「再来月の展示になる予定だそうです。だから今月中行くことになると思います」

「そう……帰りが遅くなると思うけど家の方は大丈夫?」

「大丈夫です。最近は前程うるさく言われなくなったので」

奈月が身を退いたことに満足しているのもあるだろうが、最近の叔父家族は多忙そうで奈月に構っている暇は無さそうだ。

いったい何をしているのか、分からないけど放っておいて貰えるので助かっている。

(ずっとこの調子だといいのに)

出来れば頃合いを見て、家を出たいと思っている。

和泉と愛理の縁談がどうなっているのか奈月に情報は入って来ないけれど、いずれ実現したら家にはいられない。

和泉と愛理が夫婦になるのを黙って見ていられるほど、冷静にはなれないから。

愛理にとっても和泉の視界に入るところに元恋人の奈月が居ない方がいいに決まっている。だから家を出ることにそれ程反対はされないだろう。

今の環境から抜け出して新しい気持ちでやり直すつもりでいた。
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