冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
奈月への嫌悪感を隠しきれなかったのか、彼の整った顔が僅かに歪んだ。
記憶の中の和泉はいつも優しく愛情を向けてくれていたから、目の前に現実を突き付けられると胸が突かれたように鋭く痛む。
けれど溢れそうになる感情を必死に抑え冷静さを装い答えた。
「はい。政略結婚だと分かっています」
「さぞかし不本意だろうな。あれほど俺と別れたがっていたのだから。なぜ和倉愛理ではなくお前が選ばれたのか分かるか?」
「いえ……」
「俺はもう結婚を望んでいなかった。それでも妻を迎えなくてはならないなら、割り切れる相手がいいと考えた。お前なら労わりや気遣いなどしなくていいからな」
奈月は思わず目を伏せた。愛理でなく奈月が指名されたのは司波家当主の意向と聞いていたけれど真実は違ったのだ。
あくまで和泉の希望。名ばかりの妻として扱っても罪悪感を持たなくていい相手を彼は選んだだけ。
(私だったら傷つけていいから)
先に傷つけたのは奈月だ。だから和泉が冷酷な態度をとっても仕方がない。でもそれで和泉は幸せなのだろうか。
「結婚自体を断った方が良かったのでは?」
「そうはいかない。これは政略結婚だからな」
記憶の中の和泉はいつも優しく愛情を向けてくれていたから、目の前に現実を突き付けられると胸が突かれたように鋭く痛む。
けれど溢れそうになる感情を必死に抑え冷静さを装い答えた。
「はい。政略結婚だと分かっています」
「さぞかし不本意だろうな。あれほど俺と別れたがっていたのだから。なぜ和倉愛理ではなくお前が選ばれたのか分かるか?」
「いえ……」
「俺はもう結婚を望んでいなかった。それでも妻を迎えなくてはならないなら、割り切れる相手がいいと考えた。お前なら労わりや気遣いなどしなくていいからな」
奈月は思わず目を伏せた。愛理でなく奈月が指名されたのは司波家当主の意向と聞いていたけれど真実は違ったのだ。
あくまで和泉の希望。名ばかりの妻として扱っても罪悪感を持たなくていい相手を彼は選んだだけ。
(私だったら傷つけていいから)
先に傷つけたのは奈月だ。だから和泉が冷酷な態度をとっても仕方がない。でもそれで和泉は幸せなのだろうか。
「結婚自体を断った方が良かったのでは?」
「そうはいかない。これは政略結婚だからな」