絶対王政〜You are king〜

「僕に逆らわないでね？僕はこの国の王なんだから」

戴冠式の日、豪華な宝冠を被ったフリードリヒはジェーンにそう言って微笑んだ。実の兄を投獄して王という座を手に入れた彼に、ジェーンは怒りしか生まれず、ただ彼を睨み付けていた。

ジョセフが投獄されている場所を調べ、ジェーンは城から抜け出そうと行動したこともある。ジョセフを連れて遠くへ逃げるためだ。作戦を練り、協力者も見つけていた。しかし、フリードリヒに見つかってしまい、城の外に出ることを禁じられ、ジェーンはずっと幽閉されている状態だ。

「ジェーン、そろそろ部屋に戻ろう。夕食の時間だよ」

フリードリヒに手を引かれ、ジェーンは俯きながら歩く。この手を振り払いたいが、逆らうとジョセフがどうなるかわからない。ジェーンの行動次第でジョセフの命は危険に晒されるのだ。

だだっ広い食堂でジェーンはフリードリヒの隣に座らされる。目の前には野菜のソテーや子羊の煮込み料理などが並び、フリードリヒが召使いにワインを持って来させた。