サンタクロースに恋をした
 先輩がいるから、とかじゃなくて、一人一人の雰囲気に鋭さを感じないから。

 先輩は元から部員だし、3人は同じクラスで元から仲が良いみたいだし、その中に私が入っているのが不思議で、皆は私のことをどう感じているんだろう。

 『顔と声が可愛いからって調子乗ってるよね』『男子とばっかり話してさ、なんなの?』昔言われた言葉が、浮かんでくる。

「丸山さんは苺大福好き?」
「苺大福、ですか?」

 話に、いれてくれる。

「うん、先輩と亜紀が苺大福好きで、この前も食べに行ったりしたの」
「あ……えっと……普通、ですね」

 知らなかった。先輩って、苺大福が好きなんだ……。まだまだ先輩に関して私は知らないことばかり。もっともっと、先輩のこと知りたい。

 もっと、一緒に居たい。

「そうだよね、私も最初は普通だったの。でも美味しいところのって本当に美味しくて、今度丸山さんも食べに行こうよ」
「あ、はいっ」
「ていうか、敬語じゃなくていいよ。私たち同じ学年だし」

 あははっと笑う平川さんを見ていると、先輩が平川さんを好きな理由がなんとなくだけど分かってくる。

 でも……。分からない。どうして両想いなのに。せっかく、気持ちが通じ合っているのに。でも同時に安藤くんを選んだ気持ちも分かるから……。

 可愛いから付き合いたい。そんな単純な恋愛は、恋愛じゃない。

 そう考えると私は今まで1度も恋愛をしたことがない。
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