サンタクロースに恋をした
「最近安藤とはどう?」
「んー、普通に仲良くしてるよ」

 特に不満がない、ということはそれなりに順調なんだろう。

「そっか。……先輩のことは、もういいの?」
「……安藤は、私のことすっごく大切にしてくれるから、そんな安藤のこと裏切るなんて、罰が当たっちゃうよ」

 この言い方、もしかして先輩が自分のことを好きだと知っている……? 

 でも、そうだとしたら両思いだと分かっていて安藤と付き合っているということになるわけで……複雑の一言しか出てこない。

「先輩の好きな人、知ってるの?」
「うん…………実は、この前、告白されたんだ。ちょうど、私が安藤に返事をした日に」

 那美は色々な感情が混ざったような哀愁漂う表情を浮かべる。

「そう、だったんだ」
「もう、タイミングが悪いよね。本当、あと1日私が安藤に返事をするの遅かったらさ……」

 やっぱり、まだ安藤より先輩のことを……。

「今私がしてることって、私の元彼と同じことかな? 私あいつみたいにはなりたくなかったのに。同じことしてるかな?」
「そんなことないよ。だって、安藤だって那美の気持ち知ってるんだし」
「うん……でもさ……安藤といるときも楽しいの。すごく気が楽で、昔の嫌こと忘れられる」

 もし先輩が那美に告白しなかったら、多分那美は安藤に百パーセント気持ちを傾けられたかもしれない。
 
 だからって、先輩のことを責めようとかは思わないけど。

 でも、やっぱり気になってしまう。

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