サンタクロースに恋をした
「先輩と付き合いたいって思わないの? だって、2年前からずっと気になってるんだよね? 先輩と両思い、なんだよね?」

 好きな人と思いが通じ合っていると分かったらきっと誰だって天に昇るほどに心が高揚するだろうし、それはきっと那美だって例外じゃないはず。

 それに那美がよくても、なんだか私がすっきりしない。

 だって、那美の元彼から一番に那美を救ったのは紛れもなく渉先輩だもの……。

 確かに私だって最初は安藤のほうがいいと思ったけど、入部して先輩を見ていたら、那美を見る陽だまりのような目に、那美への思いを感じずにはいられなかった。

「そうだけど……こんなこと言いたくないけど、安藤に返事をしたのは、莉子と先輩が苺大福のことですごく仲良さそうで、そのことが辛かったからなんだよ。私には向けない笑顔を、莉子には簡単に向けるんだもん」

 那美がそんな風に思っているなんて、見当もつかなかった。

「ごめん……」
「連絡先だってそう。私、知らなかったの。なのに莉子は苺大福が好きっていう共通点だけで簡単に手に入れて」

 那美は涙目で私を見る。

「私……那美も知っているとばかり」
「考えたことある? 好きな人と友達が目の前で自分より仲良くなっていくの。だったらさ、私のこと好きだって言ってくれて、一途な安藤に靡いたって不思議じゃないよね?」
「那美……」

 知らなかった。私が原因だったんだ。私がいなかったら……。

< 111 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop