サンタクロースに恋をした
この前話していた合宿が、早々に実現して、今私たちは渉先輩の家の前にいる。それにしても……。
「お、大きいね」
目の前には、存在感を放つ家が建っていて、標識には確かに先輩の苗字が刻まれてあった。
「那美ちゃんっ! 久しぶり」
家からではなく、道路の少し遠いところから梨衣名先輩が手を振っている。
「先輩っ、お久しぶりです」
梨衣名先輩の私服姿、初めて見るけれどライトパープルの上品なワンピースはまるで先輩のための服という感じで、とても似合っている。
「皆も、今日は来てくれてありがとう。いろんな料理、作りましょうね」
渉先輩の姿はまだない。
家の中にいるのかな? なんて思いながら梨衣名先輩の後に続いて家へお邪魔した。
「女の子たちは3人一緒の部屋で、安藤くんは渉と同じ部屋でいいかしら?」
その言葉を聞いた瞬間、丸川さんと莉子が安藤に視線を送る。安藤はそれに気付くとはにかんで特になにも話そうとしない。
……なんだろう?
「じゃあとりあえず、荷物を置きましょうか。そしたら早速料理に取り掛かりましょう」
「はいっ」