サンタクロースに恋をした
 最近、丸山さんの先輩を見る目が変わった気がする。

 恋愛、というよりは、普通に先輩として見ている感じ。もう、吹っ切れたのかな?
 
「ねえ、この近くに温泉があるんだけど、皆で行かない? 最近寒いしちょうどいいと思うの」

 梨衣名先輩は片付けを全て終えると、パンっと手を叩きそう提案してくる。

 さっき言ってた温まるって、このことだったんだ。

「あ、私はちょっと……」

 なんで今日に限って、女の子の日が来てしまうのか、恨んでも恨みきれない。

 本当は皆で温泉に浸かってほっと一息つきたいのに。

 それに、温泉、単純に好きなのに。

「姉さん、僕も温泉はちょっと……」

 渉先輩の顔を見ると、どうやら本当に苦手なようで、顔をしかめていた。

「んー、それなら行きたい人は行く。残る人は残る、でどう? また今度行きたかったら行けばいいし」
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