サンタクロースに恋をした
「ハンカチ、後で洗って返すな」
「あ、うん」

 どうせならそのまま捨ててくれればいいのに。もう、私の元に戻って来なくてもいい。

「2人って本当に仲が良いのね」

 梨衣名先輩はふふふっと笑う。

「俺が好き過ぎるだけなんですよ、平川にも俺と同じくらい好きになって欲しいんですけどね」
「安藤、普通に恥ずかしいから」

 ふと安藤から丸山さんに目を移すと、彼女の表情に心がひっかかる。

 ……なんだろう、目の前に座る丸川さん、なんだか無理しているように見える。

 笑ってはいるんだけど、どこか皆とは違うところを見ているような……。考えすぎかな? 

 というより、私の方が多分、1人違うことを考えている。

 先輩のことばかり、さっきからずっとそれだけが頭を占めていた。消しても消しても浮かんでくるんだもの……。

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