サンタクロースに恋をした
 夜、同じ部屋で時を過ごす私たち。

「ねえ、せっかくだしさ、トランプやらない?」
「まさか那美、持って来たの? トランプ」

 うん、と言って鞄からトランプを取り出す平川さん。

 その顔は笑顔に満ち溢れていて、今この時間を充実しているように見える。さっきまでの顔が嘘のようだった。

「梨衣名先輩も誘おっ」

 私たちは3人で先輩の部屋に行く。

 先輩は部屋着に着替えていて、ふわふわの水色の可愛らしいパジャマは先輩の雰囲気にぴったりと似合っていた。

「トランプ? いいわね。楽しそう」
「じゃあ、やりましょう。夜は長いし朝はゆっくり出来ますもんね」
「そうね」

 先輩と平川さんはふふふっと少し不気味に笑っている。そう笑いたくなる気持ちは分かるけれど……。

 でも、安藤くんたちには悪いけど、楽しんだもん勝ちよね。

 それに私、こうやって女子同士で過ごす夜って修学旅行以外では初めてで、憧れていた。でも、その夢は叶わないと思っていた。

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