サンタクロースに恋をした
 遡ること1時間ほど前。苺大福を食べ終えてほっとした時間に、明日の朝食の話になった。

「皆明日の朝はなにが食べたいかしら?」
「私はお洒落にフレンチトーストがいいなあ」

 那美、フレンチトーストが好きなのか。

「私は日本人らしく白米と味噌汁と魚がいいわね」

 時藤は那美とは正反対のものを言う。

「私はいつもトーストなので、トーストで全然大丈夫です」

 2人に比べて丸川さんは謙虚だ。

「僕は何でも」
「私もフレンチトーストがいいわ。それとサラダかしら。……あ、そうだ。男子と女子でジャンケンして負けた方が朝食担当にしましょう。じゃあ、男子は安藤くん、女子は……莉子ちゃんが代表ね」
「えっ?!」
「さあ、いくわよ。じゃーんけーん……ポイ」

 先輩に逆らえるわけもなく、その合図に合わせてグーを出したところ、見事に一発で勝負がついた。

「あらあ、じゃあ、ということで、フレンチトーストとおにぎりと味噌汁と焼き魚とサラダとトースト、よろしくね」
「あ……はい」

 梨衣名先輩の笑顔が初めて悪魔のそれに見えたときだった。

  
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