サンタクロースに恋をした
「はい、ホットミルク」

 莉子の部屋に着くと、シナモンの香りを漂わせたミルクを用意してくれた。

「うちの親、私が合宿だからって、2人で出掛けちゃったの。妹は友達の家だし」
「そうなんだ」
「で、どうしたの?」

 あの時、皆が温泉に行ってしまった後の先輩とのやりとりを莉子に話す。

 先輩に好きな人がいる、それを声にするだけでも苦しい。私はまだまだ先輩のことを諦められてない。

 安藤がいるのに、先輩の言葉に振り回されてしまう。

「そっか……。那美は、やっぱり先輩が好きなんだね」
「酷いよね、私。安藤に対して、不誠実だよね」

 考えれば考えるほど、安藤に対して申し訳なさが強くなる。

 なんで、安藤は私をこんなに好きでいてくれるのに、私は2人の間でふらふらしてるの?

 そんなんじゃだめなのに。

「それは……、でも、安藤は多分全て分かっていて那美の隣にいる。だから……」
「私、やっぱり安藤と別れるべきかな?」

 丸山さんの方がきっと安藤のことを好きだという気持ちが強い。

< 144 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop