サンタクロースに恋をした
 長い長い授業を終えてようやく放課後が訪れた。午後の授業の内容なんてほとんど覚えていなくて、今日の記憶を占めるのは壁掛け時計が90%。ああ、まだかな、まだかな、なんて思いながら5分おきにそれを見ていた。

 誰もいない廊下を歩く。部室に近づくほどに鼓動が早くなる。

「お疲れ様ですっ」

 扉を勢いよく開けると、まだ誰もいなくて、しーんと、無の音が聞こえてくるようで、拍子抜けしてしまった。

 とりあえず鞄を置いて窓を開けると、冷たい空気が入ってくる。

「寒くなって来たなあ」

 晩秋の風を少しだけ感じた後、窓を閉めて扉のほうに視線を向けた時、扉を開けたばかりの先輩と目が合った。

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