サンタクロースに恋をした
「じゃあ、苺大福ちゃんによろしくね」
「苺大福ちゃん……? あ……はい」

 渉先輩の中で亜紀は苺大福ちゃんに勝手に変換されていて、それに対して笑いがこみ上げてくる。

 でも、同時に少し胸が痛い。

「じゃあ」
「さようなら」

 暗くなりかけの空の下をを1人歩く。

 苺大福、という共通点のある2人ならきっと、私なんかが想像できないほどの速さで仲良くなるんだろうな、と考えると自分の存在がやけに小さく思えてくる。

 いいなあ、莉子は。

 スマホを見ると、莉子から『いいよー』と送られてきていて、私は早速梨衣名先輩に亜紀の連絡先を送った。

 私より先に、渉先輩のスマホに莉子の連絡先が登録される。私の連絡先が登録されるのはいつ? ていうか、そんな日来るの?

 駅までの道は寂しい。住宅街で、街灯が少なくて、薄暗い。きっと、私がここで涙を流しても誰もその姿を見ることはない。

「平川?」

 そう思ったのに。

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