サンタクロースに恋をした
 土曜日、映画館の前。

「よしっ、じゃあこれな」
「え? アニメ?」

 目の前にあるポスターを見ると、高校生の男女2人で観るというのはどうなの? いうビジュアルが描かれている。

「最近話題になってるやつだよ、知らねえの?」

 今世間を賑わせているアニメがあることは知っているけれど、確かあれは少年漫画のもので、私は昔から少女漫画、しかも恋愛ものしか読まない。

 読んだ時の胸のときめき、漫画の世界って分かっているのに、恋をしてしまう。それがたまらなく好き。

「まあまあ、とりあえず行こうぜ」
「……分かった」

 安藤はチケットどころかポップコーンや飲み物さえも買ってくれて、少しだけ申し訳なく感じてしまう。
 
 でも安藤は「これが男だろ」と、ドヤ顔をして絶対に私の財布を鞄から出させない。無駄にカッコつけて…………。

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