サンタクロースに恋をした
「まあ、美人姉妹ね」
幼い頃、姉さんと並んで歩いていると近所の人たちからそう言われることが多かった。
心の中で、僕男なんだけどな……と思うけどそれを声に出して言ったことはない。
「この子、男の子なんですよ」
「あらあ、そうなの? 奇麗な顔ねえ」
白い肌にさらさらの髪質、母親譲りの整った顔。
幼稚園では先生に可愛がられ、女の子がいつも周りにいて、だけど一方で自分と同性の男の子には距離を置かれていた。
小学生になってもそれは変わらず。でも、僕もやっぱり男で、自分の見た目にだんだんと抵抗心を持つようになる。僕だって男なんだ、と。
だから、男らしくなりたいと思って拳法を習おうと体験教室に行った。そこにいたいかにも男らしい男の子は僕の顔を見て、こう言ったんだ。
「お前男のくせに女みたいな見た目で気持ちわりいな」
それを言われた瞬間、僕の中で勢いよく扉が閉まった。閉められた鍵には頑丈な鍵が掛かった。
その時から、笑顔を作れなくなった。
無理矢理口角を上げても、心の底から楽しいと思わない。何を見ても感動しない。僕はあの瞬間、感情というものを失った。
幼い頃、姉さんと並んで歩いていると近所の人たちからそう言われることが多かった。
心の中で、僕男なんだけどな……と思うけどそれを声に出して言ったことはない。
「この子、男の子なんですよ」
「あらあ、そうなの? 奇麗な顔ねえ」
白い肌にさらさらの髪質、母親譲りの整った顔。
幼稚園では先生に可愛がられ、女の子がいつも周りにいて、だけど一方で自分と同性の男の子には距離を置かれていた。
小学生になってもそれは変わらず。でも、僕もやっぱり男で、自分の見た目にだんだんと抵抗心を持つようになる。僕だって男なんだ、と。
だから、男らしくなりたいと思って拳法を習おうと体験教室に行った。そこにいたいかにも男らしい男の子は僕の顔を見て、こう言ったんだ。
「お前男のくせに女みたいな見た目で気持ちわりいな」
それを言われた瞬間、僕の中で勢いよく扉が閉まった。閉められた鍵には頑丈な鍵が掛かった。
その時から、笑顔を作れなくなった。
無理矢理口角を上げても、心の底から楽しいと思わない。何を見ても感動しない。僕はあの瞬間、感情というものを失った。