サンタクロースに恋をした
 もちろんその子とその日以外に会うことはなく、僕はまた告白して来てくれる女子と付き合ってはフラれを繰り返し、高校2年の春を迎えた。

 今日から2年生になるのか、と、新しい教室で窓の外を眺める。

 ちょうどここからだと登校する生徒の姿が見えて、僕はぼーっとその人たちを見ていた。初々しさが漂ってきて、1年しか違わないにも関わらず、そこに若さを感じる。

「あ……」

 あれは、あの時の女子。

 今はあの時のように目に涙は浮かべていなくて、新入生特有の緊張感が表情に出ている。そっか、ここの高校に入学したんだ。

 だからと言って僕が何かをするとそういうわけでもなく、その時はそのまま終わった。



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