サンタクロースに恋をした
 数日後。

 僕の予感は的中した。

「渉くん、私他に好きな人できたから別れよ? 渉くん顔はいいけど、つまらないもの」

 いつもの決まり文句。聞き飽きた言葉。

 彼女の後ろに見える木を見ると、葉が赤や黄色に染められている。ああ、もう秋か……、いや、とっくの昔に秋は訪れている。

「……そう、分かった」

 それ以外に言うことはない。

「それだけ? 渉くんは何も感じないの? 寂しいとか悲しいとか」

 そんなことを言われても、別れたいと言ってきたのは君だしそれを僕が止める理由もない。あ、1つ葉が落ちた。

「……ごめん」
「なんか、わたしがフったのに、フラれた気分だよ」

 彼女はその言葉を残して去って行った。空を見ると、雲がゆっくりと右から左へと流れていた。


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