サンタクロースに恋をした
「あ、あの。先輩」
緊張した声は、少し震えている。
彼女は、意を決したように僕の目を見た。なんだろう、さっきとは全然違った雰囲気。
「私、先輩の優しいところが、その……好きなんです。あの時、ハンカチのおかげでどん底だった気持ちが救われました」
え………?
僕の記憶の中では、初めてだった。顔が好き、と近寄ってくる女子はたくさんいる。
いや、僕に近づいてくる人は多分僕の外見しか見ていない。それはなんとなく話していれば分かる。
でも彼女は今『優しいところ』と、確かに言った。外見ではなく中身のことを。
「それは……僕の内面のことを言ってくれてるの?」
僕は苺大福から目を離した。
「はい」
今までの女子とは違う。
「……そっか。なんだろうね、あの日、君を見たときに捨てられた子犬みたいに見えて、放っておけなかったんだ。だから、せめて涙を拭くハンカチくらいをと思って」
彼女はその話を聞くと何故か困ったような表情をする。
「あっ、緑茶、煎れますね」
「うん、ありがとう」
その時、ようやく姉さんが現れた。
「ごめんね、遅くなって。あら、苺大福もう食べてるの?」
「あ、先輩にも買ってきたんです」
「ありがとうっ。じゃあ……那美ちゃんにはこのプリンあげるね」
なんだろう、この心のざわめきは。彼女が僕の内面を見てくれていることが分かったからだろうか。僕はまだ自分の気持ちを理解するには何かが足りなかった。
緊張した声は、少し震えている。
彼女は、意を決したように僕の目を見た。なんだろう、さっきとは全然違った雰囲気。
「私、先輩の優しいところが、その……好きなんです。あの時、ハンカチのおかげでどん底だった気持ちが救われました」
え………?
僕の記憶の中では、初めてだった。顔が好き、と近寄ってくる女子はたくさんいる。
いや、僕に近づいてくる人は多分僕の外見しか見ていない。それはなんとなく話していれば分かる。
でも彼女は今『優しいところ』と、確かに言った。外見ではなく中身のことを。
「それは……僕の内面のことを言ってくれてるの?」
僕は苺大福から目を離した。
「はい」
今までの女子とは違う。
「……そっか。なんだろうね、あの日、君を見たときに捨てられた子犬みたいに見えて、放っておけなかったんだ。だから、せめて涙を拭くハンカチくらいをと思って」
彼女はその話を聞くと何故か困ったような表情をする。
「あっ、緑茶、煎れますね」
「うん、ありがとう」
その時、ようやく姉さんが現れた。
「ごめんね、遅くなって。あら、苺大福もう食べてるの?」
「あ、先輩にも買ってきたんです」
「ありがとうっ。じゃあ……那美ちゃんにはこのプリンあげるね」
なんだろう、この心のざわめきは。彼女が僕の内面を見てくれていることが分かったからだろうか。僕はまだ自分の気持ちを理解するには何かが足りなかった。