サンタクロースに恋をした
「……じゃあさ、平川も好きになればいいじゃん、苺大福。ていうか、もう好きだろ? この前のあれ、美味しかったもんなあ」
「へ?」

 それは意外な言葉だった。

「だって、そういうことだろ?」
 あっけらかんとした表情に、心がふっと軽くなった。

「安藤は、いいの? 私と先輩が仲良くなって」
「まあ、嫌だけどさ。お前が辛い顔してるの見る方が嫌だわ、しかもその先輩のせいでさ」
「安藤……って、もう昼休み終わるよね?!」

 スマホを見ると、次の授業が始まるまであと2分。

「あ、やべ。まじだ」

 2人で急いで階段を下りて踊り場の所でUターンしたとき、階段の壁にもたれかかる先輩の姿が見えた。

「え……」
「あ、ごめん……立ち聞きするつもりはなかったんだけど」

 先輩は私の目をしっかりと捉えている。その視線が強くて、目を離せられない。

「おい、授業遅れるぞ」
「あ、うん……、失礼しますっ」

 どうしていたの? どこから話を聞いていたの? 
 
 たくさんの疑問が頭の中に浮かんできて脳内が埋め尽くされる。
< 59 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop