サンタクロースに恋をした
 放課後になって、調理室に近付くと話し声が聞こえてきた。

 もしかして、他に部員が来ているのか? と思いながらその扉を開けると、そこには彼がいた。

「えっ?」

 彼は僕の顔を見て驚いたような声を出す。

 いやいや、僕の方が予想外のこの展開に驚きたい。

「昨日買ったさつまいもが大きかったので、2人だけじゃあれかなあと思って、連れてきちゃったんですけど……大丈夫でした?」
「あ、うん。みんなで食べた方が美味しいからね」

 2人きりじゃなくてほっとした反面、相手が相手ということもあり、心中は穏やかじゃない。わざとなのか? 

「2人は……付き合ってるの?」

 その言葉を聞いた彼女は目を丸くする。少し、ストレートすぎただろうか。

「いえいえ、この前も言いましたけどそんな関係では」

 それを聞いてほっと胸をなで下ろす。それも束の間、今度は彼が質問を投げかけてきた。

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