サンタクロースに恋をした
「あ、ついた」

 先輩が足を止めたのはカフェの前だった。 

「ここですか?」

 和菓子屋を想像していたから、それとの違いに戸惑う。

「うん、ここ、和カフェで苺大福がメニューにあるんだけど、すごく美味しいんだ」

 カフェで苺大福、全然想像していなかった。

「せっかくだし、ゆっくり座って話しながら食べたいと思ったから」

  話しながら……。先輩がそんなことを考えてくれているなんて、どうしよう、顔がニヤけてしまう。

「へえ、カフェで苺大福なんて、私も初めてです」
「よかった、じゃあ、行こうか」

 先輩とカフェだなんて、そんな夢のようなことが現実に起きている。

 いや、本当は夢なのかも? と、自分の手の甲をつねってみたけれど、当たり前のように痛かった。やっぱり、これは現実なんだ……。

 
< 82 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop