サンタクロースに恋をした
 注文をすると、程なくしてそれは運ばれてきた。

「わあ、美味しそうですね」 

 お皿の上にカットされた苺が飾られていて、真ん中にはメインの苺大福が乗せられている。これ、生クリーム……?

「いただきます」

 生クリームと餡子と苺の層は、今までに食べたことのない味。でも、クリームも餡子も甘すぎないでさっぱりしているから食べやすい。

「こんな苺大福もあるんですね、洋と和が融合したものも」
「うん」
「たしかに、生クリームだけ、とかなら食べたことあるけど餡子と生クリームの苺大福は初めてです。さすが先輩ですね。私はまだまだ勉強不足です」
「ははっ、そんなことないよ」

 先輩が笑った。

 初めて見たかもしれない、先輩が目を細めて口角を上げた姿を。

 でもそれは、私に向けられたものじゃなくて、莉子に向けられたもの。胸が痛む。

 莉子は私の大切な友達で、莉子が先輩のことを好きじゃないと分かっているにも関わらず、嫉妬心を抱いてしまう。

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