サンタクロースに恋をした
 月曜日、今日安藤に伝えるんだと気持ちを固める。

 好きだと言ってくれる安藤、きっと返事を待っている。

 あ、来た……。本人を目の前にすると、緊張の波が一気に押し寄せてくる。 

「よう」

 安藤はもちろんいつも通りで、私がこれから返事をするなんてきっと思っていない。

「お、おはよう」

 いざ安藤の顔を目の前にすると、やっぱりいつものようにとは言わずに緊張がどんどんと高まってくる。

「あ、あのさ」

 私今、どんな顔してるかな?

「ん?」

 安藤もそれを感じ取ったようで、へらへらとした表情が消えた。

「ちょっと……話があるんだけど」
「おう…………なんだ?」
「えっと……教室から出れる?」

 流石にこの教室のど真ん中で告白の返事をする人はいない。

 安藤を連れて人気のない廊下に来る。ああ、やばい、まだ何も言ってないのに全身が心臓になったかのよう。 

 どくんどくんと、その音しか耳に入ってこない。

「あ、あの……ね……告白の返事なんだけど」

 流れるように話すことが出来なくて、途切れ途切れになってしまう。

「お、おう」 

 安藤はその言葉を聞くと、姿勢を正す。安藤からも、張り詰めた空気が流れてくる。 

「あの、私をぜひ……彼女にしてください」

 言い終わると、しんっと音が無くなった。えっと……これは。

 下を向いて少し待っていると、ようやく安藤の声が聞こえてくる。 

「……え、まじで?」
「そ、そうだよ、冗談でこんなこと言う訳ないじゃん!」 

 安藤を見ると、顔が真っ赤になっていてそれを見ると私まで顔が熱くなってくる、廊下は寒いはずなのに、手で顔を仰いでしまう。

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